その日、見舞いに行った病院のあっちゃこっちゃを行き来していて、最後に入院客名簿というんだろうか、そこに退出時間を書いてバッチ（見舞い客であることを示すもの）を返すんだが、そのカウンターに本がある。
これは、私が今読んでいる本だ。遅々として進まないが、たしかに読んでいる。しかも人に借りている本。
あれ？こんなところに忘れるか？
その日、電車で読んでいた本は、
だ。
娘と一緒に入ったとっても気取ったデパートの店の、気取ったオムレツのソースはいかが致しましょう？と気取ったウェイトレスに聞かれて、メニューをろくろく見ず「ケチャップ」と答えると、「ケチャップはございません」と答えるウェイトレス。マッシュルームソースかチーズソースだとかで、娘はマッシュルームソースなんていうから、武田百合子も真似する。そして、でてきたオムレツがとってもまずいの。おかしかった。
しかるにこの本、バッグにはいってる可能性はあれど、おかしいな、と思って、その本を手にとる。
病院の職員も「それ、なんかそこにあって・・・」と曖昧。
その本には新品の本にありがちな出版社への葉書がある。
これ、出す人っているんだろうか？とぼんやり思いながら、借りた本よりとっても新しいことに気がつく。
あ、違う。
私が忘れたんじゃない。誰か他の人が買って読んでたんだ。それでここに忘れちゃったんだ。
紛らわしいなー。
こういう偶然もあるんだなー。別にベストセラーとかじゃないのに。
